(2021.11.16)
社長がまだ森林組合に務めていたころ
食害の現状の対策に疑問を持っていました。
何かもっと良い策は無いかと模索していたとき
たまたま現場に居合わせた静岡県富士農林事務所の所長さんと
お話させていただく機会ができたのです。
その際、社長が兼ねてから胸に秘めていた
今までの県の対策とはまったく真逆の発想を伝えると
かなりのスピード展開で
ぜひその案を実験してみようということになりました。
そもそも、食害とは何かというと
シカなどによって植えたばかりの苗木を食べられたり
傷つけられたりしてしまうことです。
これを防ぐための県の方針は“ゾーンディフェンス”といって
防護柵を設置してシカを入れさせないようにするものですが、
この柵は資材費や設置する労力など、初期費用が非常にかかります。
そしてどんなに高い防護柵を立てても
地形によっては動物たちに簡単に越えられてしまったり、
一か所でも穴が開いているとそこから侵入され食べ放題になってしまうので
定期的な柵の見回りが必要で、長期コストもかさんでいきます。
これだけの費用をかけてやっと木々が育ったら
次は柵の撤去コストが必要となるため、ここまでで大変なコストの連鎖です。
また、山に人工物を張り巡らせることになるので、
山の成長を邪魔してしまう恐れもあります。
そこで社長が考えた真逆の対策が「高密度植栽」です。
「シカに食べられてしまうなら
いっそのこと多く植えてみよう!」
苗木を植える密度を増やすことで
下刈り(雑草を除去する)範囲も省略でき、
多少シカに食べられたとしても本来残したい本数が育てば良く、
また逆に食べられなかったとしても
その中から優良木の生産が可能となります。
そして防護柵では大きなコストと設置の労力がかさんでいましたが、
その一方で苗木は1本、数百円程度で低コスト、
また植える手間もそこまでの労力は必要ありません。
この対策であれば、山になるべく負担をかけずに
食害を防げるのではないかという大きな期待とともに 実験が開始されました。
そして、この実験は社長が森林組合を辞めた今も続いているのです。
静岡県富士農林事務所・富士森林組合・社長が同じ期待を持って
今も一緒に実験ができていることは
とても有難いことだと、社長は感謝の念とともに、
次世代へ繋げる強い期待をよく話されています。
同じ未来を見据えて、
今後もこの活動を見守っていただければと思います。
(提供:静岡県富士農林事務所ドローン撮影)
(提供:静岡県富士農林事務所ドローン撮影)
記:ハヤシ