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林業を憧れの職業へ(森林環境税を活用した環境教育)

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(2024.11.21)

令和6年度より国税として、日本に住むすべての人に対し「森林環境税」が年間1000円徴収されていることを、どのくらいの人が知っているでしょうか。

森林は生物・環境の保全、水源の維持、地球温暖化の防止などたくさん私たちを助けてくれる役割を持っています。しかし最近では林業の担い手不足や、所有者・境界不明の土地が増えてしまったことにより、管理や整備が行き届かない森林がどんどん増えてきているのです。

そこで森林の適切な維持管理をしていくために「森林環境税」が創設されることになりました。「山とか所有していないし、自分には関係ないのに1000円引かれるなんて…」と思う方がもしかしたら居るかもしれません。しかし、未来の森林を守り継承することは日本に住んでいるわたしたち全員に関係があることなのです。そのため、この森林環境税がどんなふうに使われていくのかぜひ今後も一緒に見守っていってもらいたいと思います。

まだまだ小さな一歩ではありますが、今回この森林環境税のおかげで、静岡県として増えた取り組みが「森林ESD」です。「ESD」とは「持続可能な開発を進めるのに必要な教育」です。これは環境だけではなく幅広い分野を対象として、小・中学校などの学校教育をはじめ高校・教員・社員教育など社会全体を巻き込んで実施されていくものとなっています。

静岡県では小学校5年生を対象として、このESDの視点を踏まえ、林業を本職とする「森プロ」と、学校教育に携わる「教員」と、それをつなぐ「インタープリター」が連携し進めていくのが「森林ESD」となります。
そして今回社長も「森プロ」として市内の小学校へ行かせていただきました。

コンビニの店員さん、トラックの運転手さん、郵便屋さん、サッカー選手…普段生活しているといろんな職業の人に会ったり、テレビで目にしたりしますが、みなさんは林業をやっている人に出会ったことはありますか?

実は今の日本の林業人口は1000人に1人いるかいないかです。そのためほとんどの子どもたちにとって林業の人は会ったこともない知らない職業の人なのです。

みなさんも思い出してみてください。自分が小さいときになりたい職業って、やはり身近な存在であったり、あこがれる存在であったりしませんでしたか?林業を子どもたちにとって知らない職業ではなく、身近な職業になってもらうためにも、この森林ESDで小学校を訪問させていただくことはとても貴重な時間となります。

今回子どもたちは林業に使う道具にかなり興味を持ってくれていました。森の仕事で使用する道具には、チェーンソー、くさび、イヤーマフなど様々な道具があります。 また質問タイムもかなり具体的な質問が飛び交っていました。「お給料はどのくらいですか?」「何時間くらい仕事をするのですか?」など、もちろん大人でも仕事を決める上では気になるところですよね。

北山小学校に森プロとして行かせていただいた際には、帰る頃になると子どもたちからなんと「サインください!」と、このように行列ができてしまったのには驚きました。それこそ欧州で森林官(フォレスター)は憧れの職業として定着しているのですが、日本での林業はまだまだ3Kのイメージが拭いきれません。しかしそれは、今まで林業のことを何も知らない人ばかりだったからだと思います。この森林ESDを通して林業の本質を知ることで、日本の小学生にも憧れの存在になってもらえることが分かり、とても誇らしかったです。
今後もっとこのような機会を重ね、多くの人に林業の良いイメージを持っていただければ、この活動の成果と意味につながっていくのではないかと思います。

自分で植えた木を自分で使うことはできません。「親が植え、子が育て、孫が伐る」…森林は未来へと遺し続けていかなければ大切なものです。森林を維持管理することを職業としている人たちが居ることをたくさんの子どもたちに知ってもらい、興味を持ってもらえるよう未来の森林のために一歩ずつではありますが、この取り組みが今後もさらに発展していくことを期待しています。

記:ハヤシ

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