(2022.05.12)
今回は中村さんと北里さんをはじめとした、森で働く木こり仲間たちとともに、中学生の環境学習活動へ参加させていただくことができました。
場所はいつもの富士根北中学校の隣接の森なのですが、今回は市内の違う中学校からバスでこの場所へ、約120人ほどの生徒たちがやってきてくれました。
そしてまたこの地には何かのご縁があるのか、このときの生徒さんたちの学年主任の先生は、またしても社長が中学生のときの恩師の先生だったのです。
時に厳しく時に優しい音楽の先生だったのですが、まさかあのときのやんちゃで元気な生徒が、こんなにもしっかりと成長しまっすぐに仕事をしている姿を見て、大変驚かれていました。
さて前回は「林地残材」の活用方法について学んできましたが、今回は「自然を五感で感じる」という、環境を学ぶ上ではとても根っこの部分となる学習をしていきました。
この日の天気予報はあいにくの雨となっていたので、もしや中止になってしまうのではと少し不安もあったのですが、当日は天の神様も味方して小雨程度で済んだので、無事に実施することができました。
まずは全員で歩いて散策しながら、森の中へと向かっていきます。
やはりいつもの舗装されたコンクリートの道とは違うため、慣れない生徒たちのことを考え、危険個所にはスタッフを配置して見守りと呼びかけを実施しながら少しずつ進んでいきました。
その生徒の中にはなんと松葉杖の子もいました。その子は、体つきは周りの子と比べて大きなほうですが、普段は穏やかなおとなしい性格で、自分の発言を大きく主張したりということもありませんでした。
「今日は松葉杖だし、少しだけ進んだら手前でみんなを待っていようか?」と提案したのですが、「いえ、みんなとこの活動に最後まで一緒に参加したい!」という、いつもとは違う意志の強さが見えたので、安全を考慮した上で社長がマンツーマンでしっかりと支え、ゆっくりながらもみんなと共に歩みを進めていくことにしました。
実は先生もスタッフもまさかこの状態でこの子が行きたいというなんて想像もしていませんでした。しかし、やはり森の力の中には、何か人を突き動かしたり、やる気を起こさせたり、いつもとは違うたくましさを見せたりと、いつもの自分とは違うパワーをみなぎらせる何かが宿っているのではないかと感じることがあるのです。
全員が山の中へ入ったところで、中村さんは生徒たちに
「自分のマイツリーを探してください」と投げかけます。
そしてその自分の選んだ木を触って、目を閉じて、黙想します。
「何が聞こえますか。どんな匂いを感じますか。」
そんな言葉かけで、みんなが自分のマイツリーに集中し、いろんな五感を働かせていきます。
数分後に目を開いたとき、人それぞれ森の力を感じます。
・さっきより緑を強く感じる
・木の枝の間からの空がとても綺麗
・気持ちがいい
・森ってすごい
・ずっとここにいたい気分
・癒される …etc
そんな生徒のたくさんの感じ方、捉え方に、大人にも驚きと気付きがあります。
昨今のコロナウィルスの影響で、なかなか修学旅行も遠出ができなかった生徒たちですが、少しでもいつもの机に向かう勉強とはまた違った、目で見て耳で聞いて肌で感じる五感を養う学習も大切です。
わたしたち大人もスマホ社会となっている現代では、画面の文字と光に向き合うばかりになってしまいがちな毎日です。
たまには近くの公園の木でもいいので一歩踏み出し、幹を触って、自然を感じて、森への関心を向けてもらえると嬉しいなと思います。
記:ハヤシ