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4WD 日野デュトロ 2tダンプ

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(2025.6.9)

株式会社フジタカの森は今年9月に創業4年を迎えさせていただきます。実は今までトラックはレンタル等していたのですが、この度自社のトラックを納車することになりました。

もちろん社長の目指す超保全型の小さな林業に基づき小型トラックのダンプです。社長が作る山になじむ作業道は最低限の道幅(幅員)の確保にとどめているので本線は約2.5m、支線は約2.0mの道幅(幅員)となっています。
一般的に林外運搬で使用される大型トラックは10t積載車で、木材をたくさん運ぶことはできますが山奥までは入れません。そのため山の上で重機(グラップル)を使ってキャタピラの付いた運材車(フォワーダー)に木材を積んで大型トラック(10t)が入れる林道沿いまで運び降ろします。そして降ろした木材をストックしておくための広大なスペース(土場)を準備し、そこでまた別の重機(グラップル)等を使って大型トラックに載せかえるという作業が発生します。また大型の10tトラックをいっぱいにするための一時置き場(土場)はかなりのスペースが必要です。大型トラックは一度にたくさん運べるメリットもありますが、実は何度も木材を載せたり降ろしたりしないといけないので効率の悪い作業にも繋がっているのです。
その点、2tダンプなら山の上で木材を積んでそのまま市場へ運び、その足で家に帰ることもできます。もちろん10t積載車の4分の1しか運べないかもしれませんが、重機の数は少なくすみ、ストック(土場)スペースが不要で、キャタピラ走行よりタイヤで走った方が早いことなどを考えると、非常に利便性が高くなります。

富士宮市の山は富士山の麓であるため火山灰を多く含む地質となっており、容積量が小さく軽少な土壌です。有機物が集積して黒い色をしていることから黒ボク土と呼ばれます。
この土は雨などの水を含むと田んぼのように沈む土へと変化し、とても車が通れるような状態ではなくなります。そのため黒ボク土の場所は作業道を作ってもタイヤでの走行は不可能とされていました。しかし道づくりの最中に尾根から削った頑丈な砕石(バラス)を黒ボク土の道に撒いて土壌改良を続けることで少しずつ土が固められていき小型トラックでも通れる道が作られていきます。
道を作るためにただ山肌を削るだけではなく、削られた土や伐った木をまた山の作業道へ組込み循環させることでひとつも無駄を出すことなく、四輪車が通れる丈夫な道になっていきます。

キャタピラであれば接地面が多いので土質が悪い道でも通ることはできますが、タイヤ4つで動くトラックは1つでもタイヤが浮くと空転して走行不可能です。そのため道の線形と砕石(バラス)がとても重要で、それを実現させるには高い技術力と手間暇を惜しまない丁寧な作業の連続となります。

社長の師匠である野村正夫先生のさらに師匠の大橋慶三郎先生の考え方は山のてっぺんを取ることを重要視されており、かなり急勾配な作業道でした。そのため戦略的な意味も含めて自分たちしか山に入ることができません。一方、野村先生の道は師匠流を受け継ぎながらもゆるやかで山主さんも軽トラで入れるような安全な勾配での道づくりでした。窪地に作業道を通すとすぐに崩れてしまうのでそれを避けたり、水を貯めてしまわないように排水ルートを作ったり、頑丈で硬い尾根と尾根をつないで丈夫な道を作っていきます。奈良県吉野という地域性もあり吉野ブレンドされた作業道はとても使い勝手が良く、フジタカの森の方針ととてもマッチしていました。
山の仕組みを知らない人が自分たちの都合だけで工事を進めていくと、たくさん土を削り出し余分な土を山に捨てて大型重機のための広い道を作り出し、どんどん山に負担がかかります。そして水を集めてはいけないところに水がたまり崩れやすくなりそれが災害へとつながってしまう可能性があるのです。特に近年の異常気象による大雨があるのでなおさら注意が必要となります。またこのような工事がされた山では美しい木も産まれません。野村先生の手掛けた山の木は年輪ひとつとっても美しく均一な年輪幅を見ることができ、どれだけ手をかけて山を大切に管理してきたかが分かります。

余談ですが3年前に奈良県吉野の野村先生の行ってきた林業に感銘を受けた社長のスマホの待ち受け画面は「神武天皇」の肖像画です。特に意味もなく10年以上前の学生時代に「この人、弓矢や剣を差していてカッコいいな」と思ってから長い間ずっとそれにしていたそうですが、実はこの神武天皇、野村先生のすぐご近所の「橿原神宮」に祀られている方で、先日の吉野訪問の際にお参りさせていただいたのです。こんな遠くで自分のルーツと繋がるなんてやはり社長がこの林業に携わるのはずっと前から決まっていたことかもしれません。

2tダンプも悠々と走れるこの社長が貫く道づくりで、これからもたくさんの地域の方々や山主さんと山を繋げていき、より多くの人たちが山を次世代に残したいと思っていただけるよう社員一同今後も日々精進いたします。

記:ハヤシ

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